“ゆるやかな”協働

こんにちは!

CAN!Pスタッフの長﨑です!

今週、私はCAN!Pラボで何だかほっこりとした気分になりました。

というのも、子どもたちがそれぞれの「やりたい!」に打ち込みながらも、お互いにゆるやかにつながっている雰囲気があったからです。

マイプロジェクトは、個人で決めたテーマを探究する活動です。そのため、子どもたちは一人ひとり違う活動をしているのですが、なんだか一体感のある空気になっていました。

そこには私たちの思い描く”思いやりある協働者”の姿がありました。

今回は、この”協働”、しかも、”ゆるやかな”協働について分析してみようと思います。

学校で感じた"協働"

私は昨年まで小学校の先生をしていました。

当然、私が担任していたクラスでも子どもたちが”協働”する場面はあります。

グループで作品を作るとか、係のメンバーと一緒に仕事をするとか。

また、子どもたちの協働する力を育てることも学校教育の目標なので、あえてグループでの活動を仕組むことがよくあります。

国語の時間に、グループでオリジナル新聞を作るとか。

体育のサッカーで、個人ではなくグループ練習にするとか。

この場合、固定されたメンバーで明確な目標に向けて”協働”する必要が出てきます。これを”しばられた”協働と呼ぶことにします。

子どもたちは、この”しばられた”協働の中で、助け合うことのよさに気づいたり、他者とのかかわり方を身に付けていきます。

同時に、”しばられた”協働は、子どもたちにとって、”やらなければならない”協働でもあります。

裏を返せば、もしもそこで”しばられ”なかったとき、子どもたちは協働しなくなる場合があります。

それが一概に悪いわけではありませんが、願わくば、しばりがなくても進んで助け合うような人になってほしいですよね。

ゆるやかな協働

では、CAN!Pラボでの”ゆるやかな”協働とはどういったものでしょうか。

あくまでも一人ひとり異なるプロジェクトに取り組んでいるのに、どうやって協働がうまれるのでしょうか。

実際のエピソードを2つ例に挙げてみます。

彼女たちはレジンをつかって金魚すくいやりんごあめのミニチュア屋台をつくろうとしています。

レジンで作ったミニ金魚!

いろいろな屋台をつくりたい彼女たちは、スタッフといっしょにお祭りの屋台のアイデアを出していました。

すると、横で全く違う活動をしていた子が「かき氷とかは??」と意見を伝えてきたのです。

やっていることは違えど、同じ部屋で活動していたため、他の人のプロジェクトの内容が耳に入ってきていたのでしょう。

レジン屋台プロジェクトの子は、「いいね!」とかき氷案を採用しました。

ゆるやかな”協働”が生まれ、プロジェクトが加速した瞬間です。

こちらが「かき氷」を提案した彼です。

彼は変形するスマホ型輪ゴム銃を作成しているところでした。

段ボールの型の切り抜きが終わったところで、困ったことが起こりました。

回転する仕組みを作るための軸になる竹串を探したのですが、適した太さのものが見つからなかったのです。

そこに現れたのは、ラーメン作りプロジェクトで、麺の生地を踏み踏みしていた彼でした。

彼は先月まで、リアルな家の模型プロジェクトに取り組んでいたため、いろいろな太さの竹串をもっていました。

彼がふいに「ぼくちょうどいいのあるよ!」と言って、余っていた材料の中から竹串を彼に渡したのでした。

その竹串は見事ぴったりで、変形する輪ゴム銃を作ることができました。

変形する輪ゴム銃!

ここまで見た通り、CAN!Pラボでは、それぞれ異なるプロジェクトに取り組みながらも、他の子のプロジェクトに興味を持ち、必要に応じて助け合っています。

「ここは自分が何かサポートできそう」

と思ったときには、自然と手を貸したり、アイデアを伝えたりしています。

グループという枠組みがなくても、助けることもあるし、助けてもらうこともある。

これが”ゆるやかな”協働です。

ゆるやかな”協働”のワンシーン

こう見えて、取り組んでいるプロジェクトはみんな違います。

ゆるやかな協働は個々のプロジェクトを進めるうえで重要です。

一人の頭で考えるより、みんなの頭を合わせればいいアイデアが生まれ、本人にとってもよりよりプロジェクトになっていくからです。

しかし、こうしたゆるやかな協働はいつでも生まれるわけではありません。

時には人の意見に耳を傾けられなかったり、人を頼れなかったりするからです。

そのため、私たちスタッフとしても、ゆるやかな協働が生まれるようのに、要因を分析しているところです。

現在私たちは、

「自分の「やりたい!」が満たされていると、他者の「やりたい!」を助けようと思えるのではないか」

という仮説を持っています。

裏を返せば、自分のプロジェクトがうまくいっていなかったり、やりたいことが見つかっていなかったりするときには、他人を助けることまで意識が向かなくなる。

そう考えると、まずはひとりひとりの「やりたい!」を丁寧に支えることが、結果的に”ゆるやかな”協働をもたらすのではないかと考えています。

おわりに

今回は、CAN!Pラボでの”ゆるやかな”協働についてお伝えしました。

最後になりますが、私たちがなぜ”ゆるやかな”協働を大切にしているかというと、

「人はだれしも、一人で生きていくことは難しいから」です。

当たり前ですが、私たちは人を頼り、頼られ、生きています。

これがまさに”協働”です。

さらに言えば、何かあったときに頼れる人は1人より、たくさんいれば安心です。

今回のこの”ゆるやかな”協働は、自分が頼り、頼られる関係にある人を増やしていく過程でもあります。

CAN!Pラボでの”ゆるやかな”協働では、この頼り、頼られることの良さを感じてほしいと思っています。それが子どもたちが将来”思いやりのある協働者”になるうえで大切な経験になると考えているからです。

引き続き、子どもたちといっしょに、この”ゆるやかな”協働を生み出していきたいと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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