こんにちは。
CAN!Pスタッフの長﨑です。
2025年4月に開校予定の「CAN!Pスクール」は、
公立でも私立でもない新たな選択肢としての小学校です。
現在は、開校に向けて着々と準備を進めています。
その準備の1つに、テーマ学習のカリキュラム作りがあります。
今回は、CAN!Pスクールでのテーマ学習と、そのカリキュラム作りにかかわる「ハイテックハイのプロジェクト型学習」についてまとめます。
(かたかなだらけで難しい…順に説明していきます!)
テーマ学習とは?
テーマ学習は「はじめての人・もの・ことと出会い、視野を広げる」ことを目的に行う学習です。
理科や社会に関連するテーマについて探究します。
例えば、「小麦のヒミツ」というテーマ。
子どもたちは、小麦をテーマに、教科を横断しながら学習していきます。
例えば、小麦が生産者さんからどのように流通して私たちの食卓まで届くのかを調べたり、(→社会)
小麦が育つ条件を考えたり(→理科)
時には小麦で料理して実際に食べる(→家庭科)
といった具合です。
教科の枠にとらわれず学ぶことで、子どもたちの中に残って、今後使うことができる生きた学びになります。
ハイテックハイのプロジェクト型学習とは?
このテーマ学習を設計するうえで、私たちが参考にしているのが「ハイテックハイのプロジェクト型学習」です。
「ハイテックハイ(High Tech High)」は、アメリカにある、独自の教育を実施している公立の学校です。
この学校は、「公正」や「真正な学び」を大切におり、家庭環境や母語の違いなどにかかわらず、だれもが良質な学びを得られるように独自の教育手法を採用しています。
ハイテックハイでの教育が納められた映画
“Most likely to succeed”
What School Could Be ホームページより引用
このハイテックハイで取り入れられている教育手法が
「プロジェクト型学習(Project Based Learning)」です。
プロジェクト型学習とは、プロダクトを制作することを通して様々な知識や技能を身に付けていくという学び方です。
ハイテックハイの小学校では、毎日、午後の時間はほぼこの「プロジェクト型学習」の時間になっているそうです。
例えば、「On our tables」プロジェクトは、「食べ物」について深く理解することを目指す学習です。
数か月にわたってこのテーマにじっくりと取り組みます。
その中で、食べ物の生産・調理・消費について学ぶだけでなく、実際に菜園用プランターを生徒が作成し、食料不安に苦しむ地域に設置するという活動が含まれています。
生徒が作成した菜園用プランタ
HTH Communications, Cultivating Learning, September 20, 2023 より引用
このように、地域のためにプランターを作成・設置するといった「プロジェクト」を通して学ぶのが「プロジェクト型学習」です。
CAN!Pスクールのテーマ学習では、この「プロジェクト型学習」に近い形で学んでいきます。
それは、私たちが「探究する」ことを大切にしており、そのためには「プロジェクト型学習」が適していると考えているからです。
プロジェクト型学習デザイン研修
このハイテックハイのプロジェクト型学習のエッセンスを取り入れるため、
先日、「ハイテックハイに学ぶ プロジェクト型学習の授業デザイン研修」を開催しました。
講師にハイテックハイ教育大学院を修了された平岡慎也さんをお招きし、CAN!Pスタッフ、福岡近辺の教育関係者のみなさんといっしょに学びました。
この研修では、ハイテックハイの授業設計で用いられているフレームワークを使って、私たちも実際にプロジェクト型学習を設計しました。
ここで学んだ学習設計のポイントは主に3つです。
やや専門的な話になりますが、一つずつ説明してみます。
①本質的な問い
「本質的な問い」とは、その学習の学びの軸となるような、答えが一つに定まらない問いです。
「小麦のヒミツ」の学習で言うならば、
「小麦がわたしたちに届くまでにはどのような仕事や自然環境が影響しているのだろうか」
といった具合です。
これがあることで、調べればわかるような知識を詰め込むだけの学習ではなく、実生活と結びついた深い理解が得られます。
②プロダクト
「プロダクト」とは、実際に生徒が作成する成果物のことです。「On our tables」でいうなら、菜園用プランターがプロダクトです。
プロダクトを作成することで、生徒は得た知識をアウトプットすることになります。見て聞いて終わりではなく、実際に自分で手を動かしてアウトプットすることで、より深い学びにつながります。
③コアコンテンツ
最後に「コアコンテンツ」です。これは、生徒がプロジェクトで得るべき知識・理解・スキルのことです。つまり、生徒がこのプロジェクトを通して「何を」学ぶかです。
CAN!Pスクールでは、基本的に公立の小学校と同じ学習指導要領を参照しながらテーマ学習を設計しています。そのため、コアコンテンツは学習指導要領の内容をもとに決定します。
例えば、「小麦のヒミツ」で言えば、以下の3年生社会科の内容が主な「コアコンテンツ」になります。
小学校学習指導要領(平成29年告示) 第3学年の内容よりー
「仕事の種類や産地の分布,仕事の工程などに着目して,生産に携わっている人々の仕事の様子を捉え,地域の人々の生活との関連を考え,表現すること。」
この「本質的な問い」「プロダクト」「コアコンテンツ」をどのようにするかが、よいテーマ学習作りの肝となります。
今回の研修では、みんなで知恵を出し合いながらこれらを考えることができました。
ここでの学びをもとに、来年度の開校に向けて、テーマ学習で学ぶ内容の選定に取り組んでいる最中です。
おわりに
今回は、CAN!Pスクールでのテーマ学習と、そのカリキュラム作りにかかわる「ハイテックハイのプロジェクト型学習」についてまとめました。
私もたくさん学びましたが、やはり「言うは易く行うは難し」です。
実際にCAN!Pスクールで実施するテーマ学習の内容を設計するのはなかなか難しく、日々「あーだこーだ」言いながら進めています。
とはいえ、来年度実際にこのテーマ学習ができることを想像すると、ワクワクしてきます。
ぜひいろいろな子どもたちがCAN!Pスクールに来て、いっしょに学べたらうれしいです。
子どもたちを受け入れられるよう、しっかり準備をすすめていきたいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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