子どもたちが難しいことにも挑戦するために

こんにちは!

CAN!Pスタッフの長﨑です。

みなさんは、子どもたちに「もっと挑戦してほしい」と思うことはありませんか?

「得意な理科ばっかりではなくて、苦手な社会も頑張ってほしい。」

「水泳でクロールができるようになったから、次は平泳ぎに挑戦してほしい」

「とにかく好きなことを見つけて、やってみてほしい」

しかし、時には子どもたちはなかなか一歩を踏み出しません。その場にとどまったり、すでにできることを繰り返したりします。

そんな時、無理やりやらせるのではなく、放置するのでもなく、私たち大人にはいったい何ができるのでしょうか?

今回は理論的な話とCAN!Pラボのエピソードを交えて、その糸口をお伝え出来たらと思います。

「ちょっと難しいこと」を見極める

CAN!Pラボでは、自分の興味のあることをじっくりと探究する中で、その子の将来を支える原体験を作ることを大切にしています。

そんな原体験を作るためには、「やってみたい!」と「できた!」をぐるぐる回していくこと、すなわち挑戦と成長が必要です。

これを実現する上で便利な考え方の一つが「発達の最近接領域」です。

これは心理学者のヴィゴツキーさんが提唱している考え方で、幼児教育・学校教育などの理論としても有名です。

何だか難しそうな言葉ですが、意外とシンプルです。

ある活動を、その人にとって

・すでに自分ひとりでできること

・支援があればできること

・まだできないこと

に分類したとき、

「支援があればできることに取り組むときに人は最も発達(成長)するよ」という理論です。

この「支援があればできる」の部分、

簡単に言うなら「”ちょっと”難しいこと」のことを「発達の最近接領域」と呼んでいます。

 

例えば、水泳ですでにクロールができる子にとって、「クロール」という課題は、一番内側の「一人でできる」ものですね。

「海を泳いで渡る」という課題はどうでしょう?

さすがに支援があっても難しそうなので、外側の「まだできない」課題です。

では、「平泳ぎ」という課題はどうでしょうか?

おそらく、自力ではできませんが、支援があればできる「ちょっとむずかしいこと」ですね。これが「発達の最近接領域」です。

このように、まずはその挑戦してほしい課題がちょうどいい難易度なのかを考えることが出発点です。

挑戦を支援する”足場かけ”

では、この「発達の最近接領域」への挑戦で必要な支援とはどういったものなのでしょうか?

心理学・教育学の中で有名な考え方の一つに「足場かけ(スキャフォールディング)」というものがあります。

足場とは、工事現場で建物をつくるときに組まれる足場をイメージするとわかりやすいと思います。

建物を建てるときには足場を使うことで高い建物もつくれます。完成した後は足場は必要ありません。

発達の最近接領域も同じで、自分の力だけではできないことに挑戦するために、一時的な足場となるような支援が必要です。

自転車に乗るときの補助輪のようなものです。

方法は様々です

先ほどの水泳の例なら、「平泳ぎ」という課題に対して、コーチが泳ぎ方を見せるという方法もあれば、ビート板を使ってまずは足だけ練習するという方法もあります。

人が直接かかわるものから、道具や環境を調整するものもあります。

CAN!Pラボでの挑戦

ある意味、CAN!Pラボの役割はこの「足場かけ」とも言えるかもしれません。

CAN!Pラボにいる子どもたちの中では、なんとなくやりたいことがあっても

「何から手を付けていいのかわからない」

「できそうにない」

といった理由で踏みとどまってしまうことがよくあります。

そこを”足場かけ”することで、「助けてもらえればできそう」と思えるようになり、挑戦へと踏み出します。

ラジコンカーを作りたい。

そんな彼には、足場かけとして、電子工作の基礎を教えたり、参考になる本や記事を渡したりしています。

おいしいから揚げをつくりたい彼は、レシピを見たり、鶏肉の切り方をスタッフから教わったりしていました。

しかし、繰り返すうちに、スタッフが進め方や切り方を毎回教える必要はなくなり、一人で下ごしらえできるようになりました。

足場が必要なくなった瞬間です。

時には、友達どうしで支援し合うこともあります。

経験者からのアドバイスや違う視点からアイデアが足場かけになります。

そして最終的には、その子が自分のプロジェクトを自力で進められるようになるのがゴールです。そのための足場かけとして、課題に直面した時のお助けカードも作成中です。

このように、CAN!Pラボでは子どもたちが「ちょっと難しいこと」にも挑戦し、できることを広げていくためにも、様々な面から足場かけをしています。

終わりに

今回お話しした「発達の最近接領域」や「足場かけ」の話は、CAN!Pラボはもちろん、ご家庭や学校、習い事の場面でも取り入れられるかと思います。

子どもたちが難しいことに挑戦し成長していくために、私たちができることの一つの考え方としてご紹介しました。

これが、少しでもお役に立てば幸いです。

CAN!Pでも子どもたちが成長していくために必要な”ちょうどいい足場かけ”を模索していきたいと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!