自分の学びを調整する力をつけるには

こんにちは、平田です。

きりんアフタースクールの高学年の子どもたちは、「自己調整学習」というやり方で、取り組む内容(どの教科か、どの単元か、どんな教材かなど)をスタッフと相談した上で、自分で決めて進めています。

今回は、子どもたちと一緒に学習の目標設定や振り返りを行う中での気づきをお伝えしたいと思います。

見通す・実行する・振り返るの学習サイクル

高学年で行っている「自己調整学習」とは、とても短くまとめると、学習者が自分自身の学習に能動的に関わり、自らの学習を調整するという学習方法です。

子どもが学習の見通しをもち、計画したことを実行し、学習したことを振り返り、調整しながら学んでいきます。

その際、「見通す(目標を設定する・計画を立てる)」「実行する」「振り返る」の3つの局面を循環させながら学習を進めていきます。

A君の学習の進め方

高学年では、「見通す」の計画を立てる場面で

1)その日の学習計画を立てて(学習内容、時間配分などの計画)進める子
2)目標を決め、目標に向けて1,2か月ほどの期間の計画を立てて進める子

の2つの計画パターンで進めています。


今回は、A君と一緒に進める中で気づいたことをお伝えしたいと思います。

5年生のA君は、2)の方の計画パターンで行っています。

A君は、「漢字検定に合格する」という目標を設定しました。
その後、いくつかの教材を組み合わせて、10月にある漢字検定までの学習計画を立てました。

そして、その学習計画に沿って毎回の学習を「実行」しています。

毎回の学習の終わりには、その日の学習について「振り返り」をします。
学習内容や計画の進み具合などについて、うまくいったことやうまくいかなかったことなどについて気づきを出し、次回に活かすようにしています。

動機づけと目標設定

A君はいつも意欲的に学習に向かっています。
子どもでも大人でも毎回意欲的に学びに向かうというのは、簡単なことではありません。

どうしてA君は、毎回意欲的に学習できるのか、考えてみました。

要因は大きく分けて2つありそうです。
①学習自体が楽しいと感じている。
②明確な目標をもって学習している。

以前、A君が学習時間を予定より伸ばしてやっていたとき、わたしは途中休憩を勧めました。
しかし、
A君は休憩を入れず、学習に取り組んでいました。
少し難しい問題にも粘り強く取り組んでいて、考えることを楽しんでいる様子でした。

また、漢字検定という目標があることで、毎回の学習計画も明確に立てることができ、取り組む意欲にもつながっています。

A君にとって、上に書いた2つのことが動機づけとなって、学習に向かうエネルギーになっているようです。

振り返ったことを生かして調整する力

A君の「振り返り」には、その日の学習でうまくいったことやうまくいかなかったことなどが、具体的に書いてあります。

漢字検定の過去問題をやった日の振り返りでは、「漁」の字の音読みと訓読みを間違えていたということを自分で分析して、次の学習に活かそうとしていました。
また、学習の進み具合についても確認していました。

このように、自分の学習の結果や進み具合などをチェックして、自分で調節していくことがうまくできています。

しかし、A君のように、学習の動機づけや目標設定、振り返りを自ら行う力は簡単に身に付くものではありません。

だからこそ、自己調整学習の時間を通して、子どもと一緒にその力を育てていきたいと思っています。

終わりに

子どもたちは、一人一人、学習の動機となる理由も違えば、目標にしたいこと、自分自身について気づけることも異なります。
大人が、その子の学習に向かう動機や、その子に合った目標を一緒に考えたり、一緒にじっくり振り返りをしていくことが大切だと思いました。

そして、そうすることで自分の学びを調整する力を育てていきたいと思います。

これからも子どもたちによりよい学びの場を届けられるよう、まだまだ改善していきたいと思います。