ヘビが飼えなかったことから学ぶ「自由」について

こんにちは、CAN!Pスクールのゆうやです。

日々の活動の中で、子どもたちの「やりたい!」というエネルギーに触れる瞬間は、私たちスタッフにとってもワクワクする時間です。

しかし、そのエネルギーがそのまま形になることもあれば、現実的な壁にぶつかることもあります。

今日は、あるひとつの「実現できなかったプロジェクト」を通して、「自由」について書いてみたいと思います。

「ヘビを飼いたい」情熱と現実の壁

先日、爬虫類が大好きでたまらないある子が、「スクールでヘビかトカゲを飼いたい」と声をあげてくれました。彼の希望は、図鑑に載っているような珍しい爬虫類です。

私たちは彼と一緒に爬虫類ショップへ向かい、育て方や環境、費用について調査を行いました。彼は店員さんに質問し、真剣にメモを取っていました。

その熱意を受け、スタッフ間でも1時間を超える議論を行いました。彼が目を輝かせて調べてきた姿を見ているだけに、私たちにも「なんとかして彼の『やりたい』を叶えてあげたい!」という気持ちと「現実的に難しい」という葛藤がありました。

議論の末、今回は「スクールでの飼育はできない」という判断をせざるを得ませんでした。理由は主に3つです。

1.  費用の問題:生体代と環境整備に3万円程度の初期費用がかかること。

2.  公共性の問題:爬虫類が苦手な子への配慮。

3.  継続性の問題:長期休みや土日の世話を誰が責任を持って行うか。

彼にとっては残念な結果だったと思います。私たちも、彼の想いをすぐに形にできない悔しさを感じました。

学校は「自由の相互承認」の感度を育む場

ここで少し視点を広げて、教育の話をさせてください。

先日、教育哲学者の苫野一徳さんの講演で聞いた「自由の相互承認」という言葉が、今回の出来事と重なりました。

苫野さん曰く、学校の本質とは、民主主義の土台となる「自由の相互承認」の感度を育む場であるといいます。

これは、「私の自由が他者から認められ、私自身もまた他者の自由を認める」ということです。

今回、彼は「飼いたい」という自分の自由を実現しようとしました。

一方で、スクールには、「安心して過ごしたい」という他者の自由や、予算という現実的な制約があります。

このことから、彼が将来、本当にやりたいことを実現し、真の意味で「自由に」生きていくためには、以下の力が必要だと感じました。

自由であるための力:必要なお金を稼ぐ力や、世話の問題を解決する力。

自由の相互承認の感度:苦手な人がいる場所でどう配慮し、合意形成を図るかという視点。

今回の「飼えなかった」という経験は、決して無駄ではありません。 彼は「ショップに行って必要な情報を得る」「CAN!Pスクールでも飼育できるサイズを考慮して種を選ぶ」など、自由の実現に向けた第一歩を踏み出せました。これは素晴らしいアクションです。

日本評論社HPより引用

「自由の相互承認」の感度を育む仕組み

この出来事は、私たちにとっても学びとなりました。

「現実的に無理」で終わらせず、子どもたちが壁を乗り越えられる「仕組み」が必要ではないか。

そこで、CAN!Pスクールでは「子どもたちが使える予算の制度」を整えることにしました。

あらかじめ決められた予算枠の中でなら、子どもたちが計画し、使い道を決められる仕組みです。

これがあれば、「お金がかかるからダメ」ではなく、「予算内でどう工夫するか?」という建設的な思考へ進むことができます。

おわりに

CAN!Pスクールの理念に「自分を拓く」という言葉があります。

これは、他者と関わり合いながら、自分の可能性を切り拓いていくプロセスを指しています。

苫野さんの言う「自由の相互承認」は、まさにこの「自分を拓く」ことにつながります。

自分の「好き」を大切にしながら、他者の「好き」や「心地よさ」も同じくらい大切にする。

そんな調和の中で、子どもたちが育っていけるよう、私たちも環境をアップデートし続けていきたいと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!