「やりがい」はどこからくる?

おはこんばんにちは。福岡市城南区にある探究学習スクール「CAN!Pラボ」の鈴木です。子どもたちと一緒に「やりたい!」を実現する塾をやっています。

今回のテーマは「やりがい」についてです。

ある男の子の「やりがい」をもってプロジェクトにとりくむ姿から、ブログを書くに至りました。

最後まで読んでいただけるとうれしいです。

それでは、どうぞ!

この失敗はいい「気づき」

CAN!Pラボでは個人の興味関心によりそった「マイプロジェクト(通称:マイプロ)」を実施しています。

マンガ作品をつくったり

ケーキを自作してみたり

電子工作をやってみたりと

活動の幅はさまざまです。

そして今回は「マイプロ」で立体和風建築をつくる彼をご紹介させていただきます。

今週の出来事です。

完成間近のこの作品に扉をつけようとしましたが、サイズが合わずうまくいかない…

どうやら最初の段階で長さにばらつきがあったからかもしれない、と課題点が見えてきました。

いっしょに頭を悩ませていると彼はこう言いました。

よし、また1から作り直そう

いったんゼロにして、またはじめようというのです。

なかなかに勇気のいる決断だったんじゃないかなと思っています。

 

あきらめることだってできます、ちょっとごまかしたりすることだってできるんですが、「よりよいものをつくりたい」という意志が伝わってきました。

しかし、この「意志」は私の思い込みや勘違いではいけない、、と思い、彼に聞いてみたんです。

「どうしてまた1からやってみようと思ったの?」と。

すると彼はこう言いました。

僕はインテリアデザイナーになりたい。インテリアデザイナーならもっと長さも調整していたはず。だから今回の失敗はいい“気づき”だった。」と。

そのときの彼はプロジェクトに対する「やりがい」に満ちているようでした。

「つぎつくるなら、ここを改善して…」

「家の雰囲気にあったものをつくりたいなぁ…」

と次のことを考えるような言葉がでてきたからです。

達成したいもの、なりたいものへ向かう姿勢を感じました。

なぜ「やりがい」をもてた?

「やりがい」があるときってどんな気持ちでしょうか?

たのしいなぁ、おもしろいなぁ、達成してみたいなぁ、などでしょう。

では「やりがい」があるってどんな状態でしょうか?

とにかく熱中している状態」ではないかと考えます。

今回のブログでは立体和風建築の彼の「やりがい」がどこからくるのかを考察してみたいと思います。

アメリカのライアンさん、デシさんという方々の研究で

「やりがい」に関するものがあります。

自己決定理論」というものです。

人が「やりがいをもつ(=熱中する)」ために必要な3つの欲求が関係しているといわれています。

それは

①有能さ…「できるぞ!」と思えるか

②自律性…自分で決められる機会があるか

③関係性…周りの仲間といい関係でいるかどうか

です。

この3つの欲求が満たされるときに人は「やりがい」を感じるのだそうです。

たとえばこんな感じです。

サッカークラブに入ったAくん、最初はうまくボールを扱うことができなかったけど、練習を重ねるうちにシュートが決まるようになった(①有能さ)。できることが増えて、「自分の思うようにプレーしてみてね」と監督から言われ、自分で考えてプレーする(②自律性)。自分のゴールを仲間が一緒に喜んでくれるようになった(③関係性)。今では「やりがい」をもっていて、サッカーをしたくてしょうがない。

立体和風建築の彼もこの3つの欲求に当てはまっていたのではないかと考えています。

実は彼のプロジェクトは2024年9月にスタートしましたが、11月でいったんストップをして興味のある「ラーメンプロジェクト」に挑戦しました。

前から友達がやっているのを見ていてやりたくなっていたようです。

実際にラーメンを麺から作ってみて「できた!」経験を積んでいきました(①有能さ)

次にマイプロジェクトです。

やりたいことにとことんチャレンジできるし、計画をたてたり材料はこれが欲しい!など自分で決められる裁量があります。(②自律性)

彼に「CAN!Pラボのどういうところが楽しいの?」と聞いてみたところ

「自分で決められるところ。やりたいことを自分ならできるかもしれないって思っている」と答えてくれたことが物語っています。

最後に、自分のプロジェクトをお互いにシェアし合う仲間がCAN!Pラボにはいます。「なにやってんの?」「これなんかどう?」と自然と語り合う場面が生まれています。(③関係性)

 

以上のことから、彼が「やりがい」をもてたのは環境や彼自身の選択が関わっているのではないかと考えています。

さいごに

今回は「やりがい」をテーマにブログを書きました。

1人にスポットを当ててご紹介しましたが、「やりがい」をもって活動するのは彼だけではありません。

プロジェクトのちがう子を見ていても、必要な3つの欲求①有能さ②自律性③関係性が満たされている子は「やりがい」を持てているように感じています。

ジャンルがちがっていても、「やりがい」には気持ちの充足が必要な要素なのではないか、と考えられるいい機会になりました。

もし「やりがい」をもてるきっかけをCAN!Pラボでつくれるなら!

勉強にだって、仕事にだって、人間関係にだって活かせるのではないか!と考えています。

そしてそんな「やりがい」を持った子であふれる社会って、CAN!Pが目指すものそのものだと思って子どもたちのプロジェクトに伴走します。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!