こんにちは!
CAN!Pスタッフのゆうやです。
実は先日約2週間お休みをいただき、その間、アメリカにあるハイテックハイという学校へ見学に行っていました。このブログはその帰りの飛行機の中で書いています。今回はこのハイテックハイでの学びについて書きたいと思います!
ハイテックハイとは?
ハイテックハイ(High Tech High)とは、アメリカのサンディエゴにある公立の学校です。幼稚園から高校までの全16の校舎と、教育を専門的に学ぶための教育大学院があります。
ハイテックハイは州から特別な認可を受けており、公立でありながら独自のカリキュラムで運営することが許されています。
この学校の一番の特徴は授業の多くがプロジェクト型学習で行われているということです。
日本の教育界でハイテックハイが知られるようになったきっかけである映画「Most Likely To Succeed」
What School Could Be (https://www.whatschoolcouldbe.org/most-likely-to-succeed) より引用
プロジェクト型学習とは
プロジェクトという言葉は、CAN!Pラボに通っていただいている方にとっては、よく耳にする言葉かもしれません。
ハイテックハイではプロジェクト型学習(PBL)を「子どもたちが成果物を作って一般公開するまでの一連を、デザイン・計画・実行する中で学びを得るという手法。」と定義しています。
そのため、子ども達は自分で考え、リサーチし、自分の手を動かして学びを創ることが必要なため、これまでの「座って先生の話を聞く」という一斉授業とはかなり違った学び方であることは間違いありません。
例えば、ハイテックハイで実際に行われた幼稚園の子たちのプロジェクトに「Nature Tresure」というものがあります。このプロジェクトでは、子どもたちがまず地域の自然の中に入って、ゆっくり、じっくり観察し、隠された「宝物」を探します。その中で生まれた疑問を探究し、分かったことをまとめ、手縫いのぬいぐるみや標本を制作し、最後には実際の自然博物館で作品を展示します。
イメージ, Geminiで作成
ハイテックハイでは、幼稚園から高校まで通じて、PBLを中心に子ども達が学習しています。私はその実態や手法について学びたいと思い、今回ハイテックハイを訪れました。
美術館のような校舎
実際にハイテックハイを訪れて、まず驚いたのはその校舎です。壁にも天井にも一面にこれまで生徒たちがつくってきた作品が飾られています。これらの作品は、国語や算数、理科、社会といったアカデミックな学習の成果物として作られたものです。教科を横断しつつ、最終的には何らかのアウトプットを出すのというのが、ハイテックハイでの学びの特徴です。
その様子は学校というよりはまるで美術館。想像力や好奇心をくすぐられる空間に私はずっとワクワクしっぱなしでした。
この空間が、子ども達にも「自分たちも創造力を働かせて学びたい」という意識を、自然と育んでいるのではないでしょうか?
これは特にCAN!Pでも参考にしたいと思ったポイントです。
生徒たちの声を聞く
今回の訪問では、当の子ども達に突撃インタビューをして、正直なところハイテックハイでの学びをどう感じているのか聞いてみました。小学生~高校生、さらには卒業生まで、多くの子ども達から直接話を聞くことができました。
多くの子に聞いた質問の一つが、「プロジェクト型の学習はあなたにとってどう?」という質問です。すると、びっくりするくらい多くの子が「自分の頭で考えて学べるから、楽しいし成長できる」と話してくれました。「発表はちょっとめんどうなときもあるけどね!」など、細かな点では子どもらしいネガティブな意見もちらほらとありましたが、私が聞いたかぎり、プロジェクト型学習そのものに対しては、すべての子が肯定的にとらえていました。これは、自分で成長をつかみ取ろうとしている点で、CAN!Pでいう「自立した学習者」の姿と重なりました。
また、ハイテックハイのいいところは?と聞くと、「困っていたら先生がサポートしてくれる」と話してくれる子が数多くいました。先生とは「何かを教えてくれる人」という認識が一般的だと思うのですが、「サポートしてくれる」という言葉にハイテックハイの先生たちの在り方が現れているなと感じました。PBLでは生徒が自分で学びを進める時間が多いからこそ、先生がサポーターという立場になることも多いのだろうと感じました。
そして、聞いていてとても感慨深かったのが、ある高校生の子の言葉でした。その子は中学生の時に取り組んだ水質汚染の調査に関するプロジェクトをきっかけに、将来は生物学を学びたいと思うようになり、今はその道に向けて情報を集めていると話してくれました。彼は学校でのPBLをとおして「自分はいったい何がしたいのか」「どうやって生きていきたいのか」を学んだわけです。このように、PBLがその子のアイデンティティにまで影響を与えているということに、教育の大きな意義を感じました。
視察者に向けて自分の学びを堂々と話すスチューデントアンバサダーの子たち
何のためのPBLか?
この通り、PBLの実態について訪問し学びにいったわけですが、意外にもハイテックハイの先生方が口をそろえて、口酸っぱく話していたのが、「PBLは手段であって、大事なのは目的だ」という言葉です。実はハイテックハイでのすべての教育は4つの原則に基づいて設計されています。それが
・Equity(公正)
・Personalization(個別化)
・ Authentic Work(真正な作品)
・Collaborative Design(協働設計)
です。
中でもとりわけ重視されているのがEquity(公正)です。公正とは、どんな背景をもつ子ども達も平等に学びにアクセスして、可能性を最大限発揮できるようにするという考え方です。
ハイテックハイのあるサンディエゴは、メキシコとの国境沿いの町です。そんな背景もあり、生徒の中には母国語が英語でない子がたくさんいます。また、日本に比べると各家庭の経済的格差にも開きがあります。そんな土地にある公立校だからこそ、どんな背景をもつ子どもにも確かな教育を届けたいという理念が大切にされています。それを実現する上でPBLが適していると考えているのです。
CAN!Pにとってのプロジェクト型学習
では、CAN!PでPBLを取り入れる目的は何なのか?それは、CAN!Pの目指す子ども像「熱中する探究者」、「思いやりある協働者」、「自立した学習者」を育てるのに適しているからです。
今回、実際に現地で見てきた生徒たちの姿や学校の在り方は、まさにこの3つと重なります。
特に私がメインでかかわっているCAN!Pスクール、CAN!Pラボに関しては、今回の視察でみてきたPBLと相性が良いと感じました。
CAN!Pスクールでは、子どもたちが自分の手で学びを推し進めていけるようにするという点でハイテックハイで見てきたPBLが活きてきます。また同時に、個性あふれる子が集まる学校だからこそ、ハイテックハイ同様に一人ひとりの子に合わせた学びの機会を提供する必要があると考えています。
CAN!Pラボでは、熱中する探究者を育てるための「ラボプロジェクト」「マイプロジェクト」に活かせるポイントがたくさんありました。
「ラボプロジェクト」では、子どもたちの学びがより深まるようなプロジェクトとなるよう、スタッフのプロジェクトデザインスキルを高めるために、今回見てきたことが生かせると考えています。
また、「マイプロジェクト」では、子どもたちそれぞれのプロジェクトに「広がり」と「深まり」が生まれるような仕組みづくりに活かせるアイデアを手に入れました。
このほかにも、今回の訪問では、プロジェクト設計のノウハウから、学習環境の作り方、先生の在り方など、大量の学びが得られました。帰国後はこれらをCAN!Pの各プログラムに反映していきたいと思います。子どもたちの成長に負けないよう、自分もCAN!Pも成長していけたらと思います!
最後までお読みいただきありがとうございました!