「振り返る」ことで一歩進む。自分たちで場をつくるということ

Hola!ぶいちゃんです。

民間学童CAN!Pアフタースクールでは、子どもたちが「自分たちでおもしろくする!」を合言葉に、日々の時間を自分たちの意志でつくり出しています。

私たちは、ここで過ごす放課後の時間が、子どもたちにとって「一生モノの生きる力」を育む豊かな時間になってほしいと願っています。今回は、最近の「帰りの会」で生まれたある男の子のドラマを通して、その育みの現場をお届けします。

自分たちの場所を自分たちで作る

CAN!Pアフタースクールでは、毎日帰る前に「帰りの会」を実施しています。

「帰りの会」は、単なる連絡事項を伝える場ではありません。
様々な学年や異なる考え方を持った子どもたちが集まり、お互いを知り、「違いを認め合う場」です。

最近では、この大切な時間の司会進行を、小学3〜5年生の子どもたちに任せるチャレンジをしています。

そこには、私たちスタッフの願いがあります。アフタースクールを、大人が提供してくれる場所としてではなく、「自分たちの場所」として捉え、すべてを自分たちで運営できるようになってほしいからです。

15人ほどの集団生活を送る中で生まれる、「みんなで解決したい困りごと」や「こうしたらもっとアフタースクールが良くなる・面白くなる」ということを、日々話し合いながら、自分たちの場所を作っていってほしいと願っています。

CAN!Pアフタースクールに貼ってある、合言葉

Aくんの「もやもや」から始まった、試行錯誤

とはいえ、多様なメンバーが集まる場を自分たちで回すのは簡単ではありません。ある日の司会担当、4年生のAくんの試行錯誤をご紹介します。

【1週目】よかれと思ってやったのに……

帰りの会のさなか、わいわいと場が落ち着かず、Aくんは「みんなが静かになるまで待とう」とじっと待っていました。しかしなかなか全員が静かになりません。すると周りの子から「ねえ、早く進めてよ!」と言われてしまったのです。

会が終わったあと、悔しそうに悶々とするAくんにスタッフが声をかけました。 「なんだか、もやもやしてる?」

Aくんは「自分はちゃんとやってるのに、責められているみたいで嫌だった」と本音を教えてくれました。そこでスタッフと一緒に何が起きていたのかを整理していくと、Aくんの中から気づきが飛び出しました。

「あと僕、静かにさせるために帽子をかぶって『ヒーロー』に変身して注意しに行ってた。それが逆に盛り上がっちゃって逆効果だったかも。次からは、もうヒーローになるのはやめておく!」

【2週目】反省を次に活かす

翌週、Aくんは有言実行でヒーローの帽子を封印しました。
さらに「先週、僕はみんなに静かにしてほしいと何回も伝えたのに、『早く進めて』と言われたのがいやだった。僕も早く進めたい気持ちはあるから、みんなも協力してほしい」と、A君が感じた気持ちも伝えることができました。

それを聞いたみんなは、A君の言葉で自分たちの行動を省みて、1週目よりも落ち着いて帰りの会が進むのでした。

 この出来事は、A君にとって、「自分の力で時間をコントロールできた」という素晴らしい成功体験になったのではないかと思っています。

「経験の再構築」が育む、一生モノの生きる力

彼にとっては今、人生の土台となる「原体験」が刻まれている真最中です。

ここでいう原体験とは、単なる楽しいイベントの思い出ではありません。
タクトピア株式会社のnote記事『「圧倒的な原体験」の正体を考察する』の中で、原体験についての視点が語られています

原体験とは一瞬の衝撃的な出来事ではなく、「心がもやもやする葛藤(揺らぎ)の累積」であり、それが「内省(振り返り)のプロセス」とセットになって初めて成立する

というものです。

この「振り返り(内省)」の大切さは、近代教育学の父と呼ばれるジョン・デューイの言葉にも通じます。

「私たちは経験から学ぶのではない。経験を振り返る(内省する)ことによって学ぶのだ」(ジョン・デューイ)

経験した出来事をじっくり振り返り、自分なりに意味づけをして次の行動に繋げること。これをデューイは「経験の再構築」と呼びました。

もしあの時、大人が「上手に会を進める方法」を教えていたら、
あるいはAくんが「ああーなんかもやもやした」という感情を流してしまっていたら、それはただの苦い思い出で終わっていたでしょう。

しかし、スタッフと共に「何が起きていたのか」を丁寧に振り返り、経験を再構築したからこそ、もやもやが「ヒーローを封印して時間を意識する」という次への具体的な行動エネルギーに変わったのです。

子どもたち自身の手で、自分たちの場を「おもしろく」するために

大人が帰りの会を進めれば、上手に会が進むでしょう。
しかし、私たちが目指しているのは「静かでスムーズな会」ではありません。

様々な学年、異なる考え方を持った仲間が一同に集まる帰りの会は、「どうすれば、ここにいるみんなで、自分たちの場を最高におもしろく、心地よくできるか?」を子どもたち自身の手で模索し、つくり出すための場所です。

Aくんが経験した「もやもや」や「ヒーローの封印」は、「自分と本気で向き合い、みんなと本気で向き合った」からこそ生まれた試行錯誤です。この泥臭いプロセスそのものが、CAN!Pアフタースクールの目指す「自分たちでおもしろくする」の体現です。

私たちスタッフの役割は、正しい司会のやり方(正解)を教えることではありません。子どもたちの「もやもや」を受け止め、一緒に振り返りながら、子どもたち自身が「自分たちの場をおもしろくしていく力」を信じて、隣で伴走し続けることです。

子どもたちが自分たちの手で、日々を、そして自分自身を変えていく姿を、近くで支えていきます。

それでは、Hasta Pronto~!